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DISGRACED-恥辱-

 

 

 

9/21、DISGRACED-恥辱-を観てきました。

 

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小日向さんが主演でヤスケンも出ているということでチケットをとったんだけど、こんなすごい作品だとは思ってなかった。

 

イスラム、ユダヤ、白人、黒人、男性、女性という立場がまったく異なる人間達が、普段言葉にはしない問題に踏み込んでいく作品でした。

 

NY、ロンドンで上演されて賞を受賞したりノミネートされたりと海外でかなり有名な作品で、日本初上演、しかも日本人キャストで上演ということで結構客をその世界に引き込むのは細かい演技が必要だっただろうな。

パキスタン系、白人、黒人、ユダヤ、それぞれを日本人が演じるというのはこれはかなり難しい。

舞台はアメリカなので、キャストの身の振り方や台詞の強弱がかなりアメリカを意識したものになってました。特に小日向さんは演技の強弱が多かった。エミリーと喧嘩してる時にアイザック達がやってきた時の切り替えが、欧米人がやることそのもので、うわ、これ欧米人やるわって思って笑ってしまったくらい上手かった。

 

小日向さんは本当に細かく演技してて、ホームパーティのとこで徐々に酔っていくとことか、本当に徐々に徐々に酔う演技してくからすごいなあと思ったなあ。

ホームパーティのシーンは実際に飲み物を何杯も何杯も飲んでいたけど、あれ途中でトイレ行きたくならんのかな(笑)

 

 

この作品は本当に引き込まれるって感じで引き込まれました。全員が本当にそれに見えるし、信仰心というものに対する恐怖というか、ゾッとするものを見ている側に感じさせる。

アイザックがアミールに9.11に何を感じたか問うシーンに本当にゾッとした。信仰心を捨てても、結局骨の髄までそれが染みてしまっているんだなあと思わされてしまう。終盤にアミールがエミリーにしてしまうことも、結局やっぱりイスラム教なんだねってアミールが言われてるような感じがして何ともショッキングなシーンだった。

 

それによって、芸術の面でイスラムに惹かれてたエミリーに、イスラムへの恐怖心を植え付ける結果になったのかなあれは。エミリーもイスラム教とは何かを身を以て知ったんだろうけど、結局脚本家はイスラムに対する疑念や恐怖を観ている側に更に植え付けたかったのか。信仰心を捨ててアメリカで長く暮らしている人間でも、腹の底や骨の髄にイスラム教があって結局こいつらもテロリストと変わらないんだと言いたいように見えてしまう。

まあアメリカ人からしたら自分ら攻撃してきたから完全悪だろうし、その前にきっとそういう意味では書いてるわけじゃなくて、宗教の根深さというのを表現したかったんだろうけど、あなたの周りのイスラム教徒も例外じゃないぞって警鐘を鳴らしているように感じてしまって、最後を考えれば考えるほど、どういう意味で脚本家はこれを書いたのかわからなくなる。自分がイスラム教徒でこの作品をみたら、イスラムは悪だと言われている気になるかもしれない。人の捉え方によってはそう感じるだろうし、だからこそ宗教間の問題は尽きないんだろうなと思う。

 宗教を巡って争わなければいいものなんだけど、目に見えないものを信じて、信じすぎてしまうと怖いものだね。

 

全てのキャストの立場が何1つ同じじゃないからまったく難しい。それぞれの正義や正解が違う宗教問題は永遠に続くんだろうな。そう思わされました。

 

 

でもね、本当に観てよかった。舞台でこそ観てよかったと思えるものでした。

 

 

 

おわり。